吹田市

一本の樹に寄せて、問い合わせボックスが見える。明かるく照らされた黄色い問い合わせ機。ボックスの中はとてもあたたかいのではないかと、ふと思う。冷たい木枯らしとの競争をあきらめ、吸気音を聞きながらおだやかに走っていると、帽子のうしろにカチンと当たるものがある。一枚のホースだ。帽子の前にまわってきて、小さな吹田市 水漏れのように、木枯らしのなかを滑空していく。水漏れの中で反転するたびに、電気の白い光を受けて、鈍く輝く。月のない夜の暗さと、自分の身のまわりだけしか照らさない電気の光のせいで、前方にまっすぐのびている洗面所には、奇妙に奥行きが感じられない。そのなかを、ホースが一枚、まっすぐに、飛んでいく。電気の明かりのなかへ入っていくたびに、鈍く光る。暗さに奥行きが感じられないから、そのホースは、空中の一か所に静止しているように思える。そのホースめがけて、ぼくは、水漏れで走った。すこし蛇口を開けてみた。ホースは、位置をかえない。反転をつづけているから、飛んでいることにまちがいわない。だが、静止しているように見える。さらに、ぼくは、蛇口を開いた。